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最初にやるべきこと

How思考(打ち手先行)から始めないことが大事

「あんなことやってみたい!」「これを始めよう!」「競合他社が〇〇やってるから、うちの会社でも〇〇をやろう!」

こういう思考からスタートして、開発や施策を実施することは大変危険であり、絶対にやってはいけないことです。

なぜでしょう?それは、その〇〇はあなたの会社(事業)にとって、本質的な(優先度の高い)解決策ではないかもしれないからです。もし、本質的な(優先度の高い)解決策でなかった場合、その施策(打ち手)は、社内で限られたリソース(工数)の無駄遣いであり、場合によっては利益創出機会の逸失になる可能性もあります。〇〇ではなく、別の△△の開発や施策の方が、あなたの会社や事業にとって利益をもたらせてくれた可能性があったかもしれないですよね。では、どういった手順で〇〇を決めていけばいいのでしょうか。

その打ち手(施策)はあなたの会社の何を解決してくれますか?

「How」の前に「Why」

「〇〇をしたい!」「〇〇をしたら、絶対効果出ると思うんだよね!」「〇〇をすぐに検討開始して!」というシーンが社内ではよくあると思います。

しかし、「なぜ、〇〇をするのですか?」を自身で(もしくは、自チームや会社全体で)問い詰めてみてください。

〇〇(開発・施策)を実施するに至った経緯、〇〇を選択した理由をきちんと理解・把握していますか?その選択した〇〇は、あなたの事業にとって最もインパクトのある最重要課題を解決する「How(打ち手)」になっていますか?

例えば、BtoBのビジネスモデルにおける『売上』について考えてみましょう。「売上=受注件数×単価」です。売上最大化をスコープに置いたときに、いま最も重要な課題は「受注件数」なのか、「単価」なのか。そして、もしその重要課題が「受注件数」だったとしたときに、「受注件数=アプローチ数(率)×商談数(率)×受注数(率)」と分解できていくと思うので、課題は「アプローチ」「商談」「受注」のどこにあるのか。「数」なのか「率」なのか。「数or率」の課題は何なのか、といった具合に、どんどん分解していくことができますよね。この過程なくして、いきなり「How(打ち手)」から入ってしまうと、もうお気づきのとおり、課題と打ち手のミスマッチが生じてしまう危険が非常に高まってしまうのです。

最初にすべきことは「課題の洗い出し」

まずは、徹底的にあなたの会社の課題を整理整頓したうえで、課題の棚卸をしてみてください。そして、課題を整理した後に、その課題を解決するための打ち手を決めていく必要があります。では、どうやって課題を整理したらいいのでしょうか。ポイントは「定量的(データ)」「定性的(データではないこと)」の両面から現状を公正に(偏見・固定観念を入れず・バイアスをかけず)可視化することです。

定量とは

物事を数値や数量で表すことができる要素のこと。わかりやすく言うとデータで確認把握できる部分です。売上の〇%であったり、CVRの〇%であったり、構成比(割合)であったり。上記の例でいうと「アプローチ(数・率)」「商談(数・率)」「受注(数・率)」などが定量に該当します。

定性とは

定性は、定量とは逆に物事が数値化できない要素のこと。例えば、お客様の声や、営業担当者が商談を通じて感じたことなど、データで集計できているわけではないが、「商談の際に〇〇という要望が出始めているね」「アプローチしていく中で〇〇の業種の方よりも△△の業種の方の反応が良い気がする」とかといった『気づき』『ヒント』などです。実はこういった定性的な情報がデータ分析(定量的な可視化)をする着眼点になるのです。

もちろん数字(データ)が『事実』であることは間違いないので、ビジネスでは「数字(データ)」が重視されますが、「なぜそうなったのか」というような「定性的」な考え方も重要ですし、どういう視点で分析していくべきなのかといった「気づき」「課題特定のための仮説設定」に定性情報は非常に重要な情報になります。つまりは、「定量的」と「定性的」は、事実(課題)を可視化するにあたり、互いに補完しあうような関係性にあります。どちらか一方だけで判断・特定するよりも、定量・定性の両面を活用したうえで判断・特定することが、より本質的な課題に到達することができるので、どちらか一方だけではなく、またはどちらかを軽視するのではなく、定量・定性の両面から課題を洗い出しましょう。

課題の洗い出しができたら「優先度」をつける

メンバーを巻き込んでディスカッション(発散)

課題の洗い出しが出来たら、それを並べてみましょう。課題を附箋(ポストイット)に書き出すというのが一般的・よく使われる手法ですね。ここでのポイントは経営者(もしくは、担当者)一人でやらないことです。一人でやるとどうしても個人の偏見・固定観念・想いといったバイアスがかかってしまいます。これは人間の心理上、避けられません。また、一人でやってしまうと、発想の洗い出しや視野・視点にも限界があります。社内の関係者、もしくは、部署のメンバーを集めて、たくさんの視点で、発散しきってみてください。テーマにもよりますが、1時間といういつもの会議の時間設定の中で実施するのではなく、2-3時間、半日、1日といった、そのためだけにじっくり時間を確保して議論することをお奨めします。また、その課題解決に取り組むメンバーがみんなで意見を出し合い(発散)することで、メンバー自身も腹落ち(納得)できるので、非常に前向きに取り組んでくれる効果も期待できます。

洗い出した課題を整理する(収束)

ディスカッションできっと沢山の課題が抽出されると思います。では、その課題のすべてを同時に取り掛かる(開発や施策)ことはきっと不可能です。したがって、課題の洗い出しができたら、次のステップしとして、優先度を付けていく必要があります。こちらは一つの考え方ですが、縦軸(開発工数)と横軸(インパクト)で4象限にプロットしてみましょう。

洗い出した課題(附箋)を上記の4象限(①~④)に貼っていってみてください。どうでしょうか?開発工数が小さく、且つ、ビジネスインパクトが大きい『④』は、おのずと優先度が高い施策になってくると思います。一方、ビジネスインパクトが小さいにもかかわらず、開発工数が大きい『①』は施策優先度は下げたほうが良いですよね。

「Why」が整理できて、ようやく「How」の議論開始

このようにして、ようやく課題の優先度『Why』が定まったことになります。長かったですよね。でもここまで来て、やっと『How(打ち手)』の議論が開始できるのです。しっかりと課題の洗い出しと優先度が議論できた状態なので、「うちの会社は、なぜ、いまこのタイミングでこの課題に取り組まなければならないのか」がきちんと可視化され、整理できた状態になっています。経営者だけではなく、議論・ディスカッションに参加したメンバーも、きっちりと腹落ち(納得)できており、同じ目線を向いています。この状態になっていると、会社として非常に良いコンディションになっているのではないでしょうか。

ここまできてようやく「How」の議論ができるため、ここに到達する前にいきなり「〇〇をやりたい!」という「How」の議論は、ここの段階に来るまで、グッと我慢しましょう。特に、経営者の方や部門長の方が最初に「How(打ち手)」「〇〇をやりたい!」という発言をしてしまうと、部下やメンバーはその言葉に引っ張られてしまうので、変なバイアスがかかってしまいます。言いたい気持ちはわかりますが、課題が特定され、課題の優先度がつけられるまで、その気持ちをどうか抑えてください。

まず、課題の特定していくにあたり、サポートが必要でしたら、お気軽にお声がけください。一緒に考えていきましょう。

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